資料室

論文など

産科診療所での黄疸管理(抄録)


第8回アンバウンドビリルビン研究会,2009.6.7(サンポートホール高松)
シンポジウム:一般産科施設における新生児黄疸管理
高知ファミリークリニック  福永寿則


 高知ファミリークリニックは平成18年1月に高知市に開業した産科診療所です。正常・低リスクの妊娠・分娩管理を主な対象としており、ソフロロジー式分娩準備、家族立会分娩、カンガルーケア、家族同室、母乳育児支援などを通じて、家族の絆の形成の促進、新しい家族のスタートの支援を基本としています。

 今回検討した平成20年の基本的なデータとしては、分娩数536件(すべて単胎)、37週未満新生児11例(2.1%)、2500g未満新生児42例(7.8%)、帝王切開62件(11.6%)、内緊急帝王切開16件(3.3%)、アプガースコア6点以下は1分後13例(2.4%)、5分後1例(0.2%)。なお、退院は経膣分娩は産後4~5日目、帝王切開は術後6日目を基本としています。

 母乳率は退院時94.7%(完全母乳率87.5%)、1ヶ月健診時83.2%(完全母乳率74.4%)、退院時から1ヶ月健診までの体重増加が20g/日未満の児は27例(5.1%)でした。

 当院での黄疸の管理方法は、①毎日沐浴時にミノルタ黄疸計で測定、②日齢4~5にヘマトクリット黄疸計でT-Bil測定、③T-Bilが18~20mg/dl以上で光線療法開始、④光線療法はトーイツ光線治療器ライトベッドを使用し母子同室のまま施行、⑤光線療法中は毎日(場合によっては1日2回)T-Bil測定、⑥光線療法中の糖水・人工乳の追加は体重減少率・発熱・母乳分泌状況などから判断、⑦T-Bilが17~18mg/dl以下となったら光線療法終了、⑧体重増加などがよければ光線療法終了日に退院、⑨必要に応じ退院の2~3日後に外来でT-Bil測定、⑩全例2週間健診時にミノルタ測定、を基本としています。

 平成20年に黄疸のために光線療法をした児は76例(14.3%)でした。光線療法開始時のT-Bil値(mg/dl)は17台が2例、18台が14例、19台が37例、20台が13例、21台が3例、22以上が7例。光線療法開始日齢は日齢2が1例、日齢3が7例、日齢4が36例、日齢5が29例、日齢6が2例、日齢7が1例。一旦光線療法終了後にT-Bilが基準以上に再上昇し光線療法を再開した症例は11例(内8例は一旦退院後)、高次機関に紹介・転院した症例は2例でした。
 T-Bilが22mg/dl以上の症例、高次機関に紹介・転院した症例についても呈示します。
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