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第66回高知産科婦人科学会学術集会(2016.12.10)一般演題抄録

 

沐浴からドライテクニックへ ~早期新生児清潔法の変更~

高知ファミリークリニック

福永寿則    

  早期新生児期の清潔法には、①沐浴、②清拭、③ドライテクニック(以下DT)がある。沐浴は、日本では古くから全身を洗い清めることを目的とした儀式的なものとして行われてきた。しかし新生児にもたらす悪影響として、疲労による哺乳力低下、生理的体重減少率の増加、胎脂の除去などが明らかとなり、DTが注目されている。胎脂には、抗細菌性のバリア機能、保湿機能、清潔・消毒機能、傷の修復機能などが知られている。

 DTとは、出生時に付着した血液・羊水・胎便などを拭き、胎脂はできるだけ取り除かずそのままにしておく方法である。DT群では沐浴群に比較して、生理的体重減少率が低い、日齢5までの臍帯脱落率が高い、光線療法実施率が低い、皮膚感染症の減少などが言われている。そこで当院でも201511月からDTを導入し、その効果を検討した。

DTの実際】
出生直後:分娩室で乾燥法(温乾布で全身の血液・羊水を除去)を行う。頭髪への血液付着が多い場合には櫛でとかし除去。 
生後1日目:顔と血液や胎便などで汚れがある部分のみ清拭。 
生後2日目以降:基本的に顔の清拭のみ、他は汚れがある部分のみ軽く清拭。 
退院日(経産婦は4日目、初産婦・帝王切開は5日目):沐浴実施。

DTは安全性が高く、特別な手技を必要とせず、スタッフの技術習得上の問題もなく、また、清潔ケアに要する時間の短縮、コスト削減につながっており、質的・量的に業務の削減に有益であった。



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